風呂の水は三日ごとに替える。

それが決まりだ。

生きていた頃、彼女は乾くのが嫌いだった。肌が古びた紙のようにひび割れると言っていた。

だから柔らかく保つ。髪を梳かし、指を梳かす。口元に囁きかける。言葉の感触を忘れないように。

動かすと関節がカチカチ鳴ることもある。それは腐敗じゃない、記憶だ。

これは倒錯ではない。

これは維持だ。

愛とは何かと言えば、相手がもう言葉を話せなくなった時にもそばにいることだ。

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